文選もんぜん)” の例文
帝は高祖武帝ぶていの第七子にして、は武帝の長子にして文選もんぜん撰者せんじゃたる昭明太子しょうめいたいしとうの第二子なり。一門の語、誉を征するの時に当りて発するか。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
地獄も見て来たよ——極楽は、お手のものだ、とトうらないごときはたなごころである。且つ寺子屋仕込みで、本が読める。五経、文選もんぜんすらすらで、書がまたい。
絵本の春 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ただ俳諧は大ぶん熱心で、後には立机りっきを許されて有竹庵眠雲みんうん宗匠になっていた。『風俗文選もんぜん』などいう本をわざわざ東京から取寄せて、幾らか俳文をひねくったりしたこともあった。
私の父 (新字新仮名) / 堺利彦(著)
北斎ほくさいの描いたという楊貴妃ようきひふくが気に入って、父にねだって手に入れた時、それにあう文字を額にほしいと思って、『文選もんぜん』や『卓氏藻林たくしそうりん』や、『白氏文集はくしもんじゅう』から経巻まで引摺ひきずりだして見たが
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
文選もんぜんの句を大臣は口ずさんで
源氏物語:21 乙女 (新字新仮名) / 紫式部(著)
蒙求もうぎゅう 孟子 文選もんぜん 文徳実録
妖怪学講義:02 緒言 (新字新仮名) / 井上円了(著)
正平の十九年に此処の道祐どうゆうというものの手によって論語が刊出され、其他文選もんぜん等の書が出されたことは、既に民戸の繁栄して文化の豊かな地となっていたことを語っている。
雪たたき (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
石偏いしへんや山偏や散水さんずゐ雨冠あまかんむりの字を澤山持ち出したら千言二千言の文の綴るのも難事では有るまいが、活字制限の世の中に文選もんぜん的の詞章を作つて活字の文選者ぶんせんしやを弱らせたとて野暮やぼなことであるし
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)