教訓おしえ)” の例文
お種は、気の置けない弟の前ですら、夫のうわさすることをずるという風であった。夫から受けた深い苦痛——その心を他人に訴えるということは、父の教訓おしえが許さなかった。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
わたくしはそこで乙姫様おとひめさまからいろいろと有難ありがた教訓おしえやら、お指図さしずやら、またおやさしいなぐさめのお言葉ことばやらをいただきました。おかげわたくし自分じぶんでもがつくほどめきめきと元気げんきてまいりました。
善悪判明の世である、故に今世に隠れて来世に顕われよとの教訓おしえである。
ああ、師父しふか。師父はな、これより北のかた、二千八百里、この流沙河りゅうさが赤水せきすい墨水ぼくすいと落合うあたりに、いおりを結んでおられる。お前さんの道心どうしんさえ堅固なら、ずいぶんと、教訓おしえも垂れてくだされよう。
悟浄出世 (新字新仮名) / 中島敦(著)