おく)” の例文
それにひきかえて、この治郎右衛門忠明は、早くも、老いのきざしを現し、きょうのようなおくれをとったこと、師弥五郎先生に対しても、なんのかんばせがあろうか。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おくれを取るのは知れているので、気負う精神こころを押し沈め、谷を睨んで突っ立った。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
だんじて、武蔵におくれは取らぬと、かたい自信がありながら、お光のそんな姿を見ると
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お待ちなされい! どこへ参られる! 仇一人ならばともかくも、谷には坊主之助の味方の者、満ち満ちておるではござらぬか! 機を看てせざればおくれを取る。いましばらくはお待ちなされい!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「己れ馬鹿を申せ、汝等如き田夫におくれをとって武士と云われるか、さあ来い」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)