放生会ほうじょうえ)” の例文
旧字:放生會
一切経会いっさいきょうえ、御八講、祈雨御読経きうみどきょう、御逆修ぎゃくしゅ、塔供養、放生会ほうじょうえ、——それらは賀茂祭かもまつり五竜祭ごりゅうさい大嘗会だいじょうえなどと異なるところがない。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
「きょうはわたくしの志す仏の命日でござります。どうぞわたくしに免じて放生会ほうじょうえをなにぶんお願い申します。」
(新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
……雛に供えたのを放生会ほうじょうえ汐入しおいりの川へ流しに来たので、雛は姉から預かったのを祭っている……先祖の位牌いはいは、妹が一人あって、それが斉眉かしずく、と言ったんだね。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実はね、お爺さん、宵からお目に掛っていた客が、帰りがけにこの橋から放生会ほうじょうえをなすったものがあるんです。——昨日きのうはお雛様のお節句だわね——その蛤と栄螺ですって。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
先方さきが職務に忠実なんだと気がつくほど、一度は警察か、と覚悟をしてね——まあ、しかしそれでも活きた証拠に、同じものの放生会ほうじょうえがあって、僕が放生会に逢ったようだ。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「大丈夫、かえって身がわりになったでしょうよ。この花瓶がですよ。でも、あの人の無事のお祈りのために、放生会ほうじょうえをしてきましょう。昨日は大きな鮒を料理りょうりましたから。」
卵塔場の天女 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「ほん、ほん。こなたは、これ。(や、じじい……その鮒をば俺に譲れ。)と、ねえさんと二人して、潟に放いて、放生会ほうじょうえをさっしゃりたそうな人相じゃがいの、ほん、ほん。おはは。」
小春の狐 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)