放下ほか)” の例文
しかし両手を門に掛けると、すぐに、これは少し気短かに過ぎると感じて、出しかけた手を引込め、埃のたくさん溜った布簾カーテン放下ほかした。
幸福な家庭 (新字新仮名) / 魯迅(著)
左に推させ、と右へ、捻ぢ回したる打擂すまひ本手てなみに、さしもたけたる須本太牛は、おぞ頑童わらべ放下ほかさるる猪児ゐのこごと地響ぢひびきして摚と仰反り倒れけり——と描写している。
越後の闘牛 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
恰度ちょうどその時、画室の主じは仕事のキリが来て、絵ふでを無雑作に放下ほかしながら振り向きました。
艶容万年若衆 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
「こいさん、その缶何処どこぞへ放下ほかしなさい」
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)