支倉はぜくら)” の例文
絵筆を捨てた堅山画伯と呼ぶ方が著名ポピュラーであろうが——その鴻巣胎龍こうのすたいりゅう氏が奇怪な変死を遂げたと云う旨を、支倉はぜくら検事が電話で伝えたからである。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
帰化英人アダムスをして百二十トンの大船を造らしめ、太平洋を横断して、墨西哥メキシコと交通せしめ、伊達政宗だてまさむねは、図南となん鵬翼ほうよくふるわんと欲して、その臣支倉はぜくら六左衛門をして、墨西哥にけいして
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
そして、卓子テーブルを隔てた前方には、前の幕合から引き続き坐り込んでいる、支倉はぜくら検事と熊城捜査局長が椅子にもたれていた。
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ねえ支倉はぜくら君、僕がもし、ボードレールほどに、交感コレスポンダンスの神秘境に達しているのだったら、この涙の匂いで、ウルリーケをいったいなんと唱うだろうね。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ところが支倉はぜくら君、失神が下等神経に伝わっても、そういう連中が各々めいめい勝手気儘きままな方向に動いている——それはいったい、どうしたってことなんだい。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
と云うのは、彼と友人の支倉はぜくら検事の私宅が聖堂の付近にあるばかりでなく、実に、不気味な前駆があったからだ。
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
だから支倉はぜくら君、僕はソーンダイクじゃないがね、マラリヤや黄熱病よりも、雷鳴や闇夜の方が怖ろしいと思うよ
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
たすからんね支倉はぜくら君、たぶん海精シレエヌの魅惑かも知らんが、こりゃまったくたまらない事件だぜ。だって、考えて見給え。海、装甲、ドア——と、こりゃ三重の密室だ」
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
それなので、訪れた支倉はぜくら検事から殺人という話を聴くと、ああまたか——という風ないやな顔をしたが
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
法水の顔を見ると、支倉はぜくら検事は親し気に目礼したが、その背後から例の野生的な声を張り上げて、捜査局長の熊城くましろ卓吉が、その脂切った短躯をノッシノッシ乗り出して来た。
後光殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
その三十分後には、法水麟太郎と支倉はぜくら検事の二人が、北多摩軍配河原の寂光庵に到着していて、まさにそこで、疑う方なく菩薩の犯跡を留めている二つの屍体に直面したのだった。
夢殿殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「なるほど支倉はぜくら君、君と云う法律の化物には、韻文の必要はないだろう。然し、さっきの告白悲劇はどうするんだい。あの悲痛極まる黙劇パントマイムの中で、幡江が父に、何を訴えたかと思うね」
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
すると支倉はぜくら君、君はこれを見てどう思うね?
聖アレキセイ寺院の惨劇 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)