播半はりはん)” の例文
しかるに姉は、早くから家事を担当させられたので、旅行などに行く暇がなかったせいもあるが、一つには大阪程よい土地はないと云う風に考え、芝居は鴈治郎がんじろう、料理は播半はりはんかつるや
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
何しろ父は芸人を贔屓ひいきにした人なので、三回忌の時迄は俳優や芸妓げいぎなどの参会者も相当にあり、心斎橋の播半はりはんでの精進落ちの宴会は、春団治はるだんじの落語などの余興もあって、なかなか盛大に
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
で、法事の翌々日、廿六日の昼に、亡き父母にゆかりのある播半はりはんの座敷を選び、貞之助にも遠慮して貰って、姉と自分たち三姉妹の外には富永の叔母とその娘の染子だけを招くことにした。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
そこの女将はもと大阪の播半はりはんの仲居をしていた人で、亡くなった父もよく知っていたし、自分も「とうさん」時代から顔見知りの仲であるから、始めての旅館へ泊るようなものではあるまい
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
姉は、廿六日にはどうしても立たなければと云って、昼間の播半はりはんのお呼ばれを済ますと、蘆屋あしやへは帰らず、一時間ほど心斎橋筋の気分を味わってから、幸子たちに送られて真っ直ぐ梅田の駅へ行った。
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)