“揺籃”のいろいろな読み方と例文
旧字:搖籃
読み方割合
ゆりかご40.7%
ようらん40.7%
えうらん7.4%
ゆりご3.7%
クレードル3.7%
つづら1.9%
ぶらんこ1.9%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
自分はよく、なんの用もないのに、この渡し船に乗った。水の動くのにつれて、揺籃ゆりかごのように軽く体をゆすられるここちよさ。
大川の水 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
爾来最後まで同所長事務取扱の職に留まってこの揺籃ようらん時代の研究所の進展に骨折っていた。昭和二年には帝国学士院会員となった。
工学博士末広恭二君 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
封建の揺籃えうらん恍惚くわうこつたりし日本はにはかに覚めたり。和漢の学問に牢せられたる人心は自由を呼吸せり。鉄の如くに固まれるものは泥の如くに解けたり。
明治文学史 (新字旧仮名) / 山路愛山(著)
赤ききぬひときはわかく、にほやかにけぶる揺籃ゆりご
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
一体、あちらでは、立ち上る位までになった子でない、ほんの嬰児は、多くの場合、彼等の小さい揺籃クレードルの中に臥されています。
男女交際より家庭生活へ (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
柿の枝などの年々なつかしい蔭を作るひさしのなかで、織機はたに上って、物静かにかちかちを運んでいる陰気らしい母親の傍に、揺籃つづらに入れられた小さい弟がおしゃぶりをしゃぶって
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
黒面猿くろんぼざるがチョコンと揺籃ぶらんこに乗ったような恰好に眺められたからである。しかし宋江のみは、彼にしても罪をつぐなわんとする責任感はかくも強く持っているのかと、ちょっとまぶたを熱うして。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)