推重おしかさな)” の例文
氷の如き宮が手を取り、ひしと握りて、永く眠れるおもてのぞかんと為れば、涙急にして文色あいろも分かず、推重おしかさなりて、いとしやと身をもだえつつ少時しばし泣いたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
やがて重き物など引くらんやうに彼のやうやきびすめぐらせし時には、推重おしかさなるまでに柵際さくぎはつどひしひとほとんど散果てて、駅夫の三四人がはうきを執りて場内を掃除せるのみ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
と満枝の手首にすがれるまま、一心不乱の力をきはめて捩伏ねぢふ捩伏ねぢふせ、仰様のけざま推重おしかさなりてたふしたり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)