捻紙こより)” の例文
写真を見ると、平田と吉里のを表と表と合わせて、裏には心という字を大きく書き、捻紙こよりにて十文字にからげてあッた。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
兄貴がこの墨を頂戴せしそのありがたがりし笑顔、今もなお目にあり、古参の子供らが捻紙こよりつなぎの文銭もてぜひに買わんとい、あるいは半紙十枚と換えくれと請いたれども承知せず
空家 (新字新仮名) / 宮崎湖処子(著)
捻紙こよりでぎり/\巻いてある屋根板様やねいたようのものを取出し、捻紙を解き、中より書附かきつけを出し、ひらいてにやりと笑い、又元の通り畳んで、ぎり/\巻きながら、彼方あちら此方こちらへ眼を附けていますから
一個ひとつの抽匣から取り出したのは、一束ひとつかねずつ捻紙こよりからげた二束ふたつふみである。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)
小万は驚きながらふッと気がつき、先刻さきほど吉里が置いて行ッた手紙の紙包みを、まだしまわず床の間に上げておいたのを、包みを開け捻紙こよりを解いて見ると、手紙と手紙との間から紙に包んだ写真が出た。
今戸心中 (新字新仮名) / 広津柳浪(著)