拉丁ラテン)” の例文
『伊太利人は、同じ拉丁ラテン系民族のなかでも、他人の所有物に対してあんまり興味を感じないほうに属します。これは非常にいいことです。』
踊る地平線:10 長靴の春 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
私が若し仏蘭西フランスへ行ったと致しましたなら、拉丁ラテン民族の優雅な、理智と感情との調和に必ず心の躍る歓びを感じますでしょう。
C先生への手紙 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
仏蘭西フランス文化の影響を受けている拉丁ラテン亜米利加の研究所員には、仏蘭西語には造詣の深い者もいたが、独逸文はあまり大して読めなかったであろう。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
夫は Cave Furem を略した拉丁ラテン文字のCとFで、その意味は、「盗賊に注意せよ」と云うのであった。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
新知識を振廻すものがあるとひどしゃくさわるらしく、独逸語や拉丁ラテン語を知っていたって端唄の文句は解るまいと空嘯そらうそぶいて、「君、和田平のうなぎを食った事があるかい?」などとかたきを討ったもんだ。
斎藤緑雨 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
そしてフロールと私とは、拉丁ラテン語でディオゲネスか何かの対話をすることを、受持ちの教師から指名されていた。
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
「ハア、あの、拉丁ラテン区にねえ、セーヌを越して、エッフェル塔や凱旋がいせん門の見えますあたりにねえ……父が永らくあすこで、商売をしていましたもんですから。ほんとうに懐かしい所ですわ」
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
拉丁ラテン語の教師、歴史の教師、物理の教師……とあらゆる学課のことごとくを家庭教師に就いて学んだから……そして父と母の旨を受けて、それらの教師のことごとくは明るい人生の表面へと
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)