打解うちとけ)” の例文
逢った度数かずで申そうなら七、八遍というところ。お互に気心が知れ合って、すっかり打解うちとけながら、まだどこやらに遠慮があって、お互にわるく思われまい。
あぢさゐ (新字新仮名) / 永井荷風(著)
なげかれてつひに心も打解うちとけつゝ再びまよふ千太郎忠義一※の久八が異見いけんくぎゆるめし事嗚呼是非もなき次第なり。
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
思う事を言って打解うちとけて如何どうする気だったか、それは不分明だったけれども、兎に角打解うちとけたかったので、酒を命じたら、果してお糸さんが来て呉れて、思う通りになった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
見て心打解うちとけ成程考へ候へば加納將監樣の呉服ごふくの間に澤の井と申て甚だ不器量の女中御座候やに存じ候去乍さりながら宿やどの儀は存じ申さずとおもなげに云を次右衞門は聞てさらば澤の井の宿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
酒を命ずればお糸さんが持って来る、お糸さんが持って来れば、ちっとのならお酌もして呉れる、お糸さんのお酌で、酒を飲んで酔えば、私にだってちっとは思う事も言えて打解うちとけられる。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
偖又半四郎はときうつるに隨ひてゑひは十分にはつおのづから高聲かうせいになり彼町人體の男に向ひ貴樣の樣なる者は道連みちづれになると茶屋なとへ引づりこみ此樣に打解うちとけて酒を呑合のみあひ百年も交際つきあひし如くなして相手の油斷ゆだん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)