打突ぶつか)” の例文
多くの人間は一体自分から観て一寸測り知られぬ異常な事件に打突ぶつかると何も彼も因縁事だと諦めて了ふ。然し、私達はそれで決していい事はない。
神童の死 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
そこでこわごわあちこち歩いた末に、往来の人に打突ぶつかったり、垣などに打突ったりして、遂には村はずれまで行って、何処かの空地に逃げ込むより外はない。
概念として、思想としては、かなり深い処に到達したやうに思はれるけれども、それは決して作者自身が自己の全人格全芸術を以て、開かない扉に向つて打突ぶつかつて行つたといふ風ではない。
小説新論 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
せんにH——新聞にゐた山岡といふ人で、僕も二三度面識がある。その人が今編輯局編成の任を帯びて札幌に来てゐる。実は僕にも間接に話があつたので、今日行つて打突ぶつかつて見て来たのだ。』
札幌 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)