手柄話てがらばなし)” の例文
このをとこ正直せうじきだから、猛狒ゴリラ退治たいぢ手柄話てがらばなし勿論もちろん自分じぶん大失策おほしくじりをも、人一倍ひといちばい大聲おほごゑでやツて退けた。
龍太郎も、じぶんの手柄話てがらばなしらしいことを、おくびにもださなかったが、竹童もまた、あれほどの大軍功だいぐんこうを成しとげていながら、鼻にもかけずちりほどのほこりもみせていない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手下どものむごい手柄話てがらばなしを眼を細めて聞いてよろこび、後には自分も草鞋わらじをはいて夫について行き、平気で悪事の手伝いをして、いまは根からのあさましい女山賊になりさがり
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
まるで胴忘どわすれしていた。ずっと前から、空想の中で股野を殺すことを研究し出してから、一度も明智の名を思い出さなかった。不思議なくらいだ。おれは明智の手柄話てがらばなしを残らず読んでいる。
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)