手懐てなず)” の例文
旧字:手懷
袁譚えんたんは城を出て、その後備えを追撃した。そして殿軍しんがりの大将呂曠りょこう呂翔りょしょうのふたりをなだめて、味方に手懐てなずけ、降人として、曹操の見参にいれた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「叔父ははらが黒いから、おためごかしに母を手懐てなずけて、何をするか知れん。これを当分君に預けておくから、持って帰ってどこかへ仕舞っておいてくれ。」
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
二人の犬殺しの苦心もまたそこにあって、いろいろに犬を手懐てなずけようとしたのもそれがためでありました。
デミトリチの顔付かおつき眼色めいろなどをひどって、どうかしてこの若者わかもの手懐てなずけて、落着おちつかせようとおもうたので、その寐台ねだいうえこしおろし、ちょっとかんがえて、さて言出いいだす。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それというのも、あれほど瑠美子を手懐てなずけていた清川も、同棲どうせい生活が初まるとたちまち態度が豹変ひょうへんして来たからで、それも彼ら二人の恋愛生活に幻滅を促した一つの原因であった。
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
片々きれぎれに口にするところから推測してみると、とっくに切れてしまったはずのクルベーが、新橋の一芸者を手懐てなずけたとか、遊んでいるとかいうようにも聞こえたし、寄越よこすはずの金を
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
酒も呑まず賭事かけごとにも手を出さず、十二三歳の時から、馬で赤城あかぎたきぎを採りに行ったりして、馬を手懐てなずけつけていたので、馬に不思議な愛着があり、競馬馬も飼い、競馬場にも顔がきいていた。
縮図 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)