志士しし)” の例文
かくて志士しし仁人じんじんに謀りて学資の輔助ほじょを乞い、しかる上にて遊学ののぼらばやと思い定め、当時自由党中慈善の聞え高かりし大和やまとの豪農土倉庄三郎どくらしょうざぶろう氏に懇願せんとて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
政治を論じたり国事を憂いたりする事も、恐らくは貧家の子弟の志すべき事ではあるまい。但し米屋酒屋の勘定を支払わないのが志士しし義人ぎじんの特権だとすれば問題は別である。
正宗谷崎両氏の批評に答う (新字新仮名) / 永井荷風(著)
志士しし仁人じんじんもまたかかる醜態を演じて、しかも交誼こうぎを厚うする方便なりというか、大事の前に小欲を捨つるあたわず、前途近からざるの事業を控えて、嚢底のうてい多からざるの資金を濫費らんぴ
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
早く立憲の政体を立て、人民をしてまつりごとに参せしめざる時は、憂国の余情あふれて、如何いかなる挙動なきにしも非ずと、種々当路者に向かって忠告するも、馬耳東風はじとうふうたる而已のみならず憂国の志士しし仁人じんじん
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)