影燈籠かげどうろう)” の例文
町の方から、がや/\と、おんなまじりの四五人の声が、浮いた跫音あしおととともに塘堤どてをつたつて、風のとまつた影燈籠かげどうろうのやうに近づいて
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
芥川の影燈籠かげどうろうも一つの魅力なり。
新版 放浪記 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
牛だの、馬だの、異形いぎょうなものが、影燈籠かげどうろう見るようにふわふわまよって、さっさと駈け抜けてどこかへくだね。
海異記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
此のただ一つのともしびが、四五人の真中へ入つたら、影燈籠かげどうろうは、再び月下に、其のまゝくる/\と廻るであらう。
光籃 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
塀の外をちらほらと人の通るのが、小さな節穴をすかしてはるかに昼の影燈籠かげどうろうのように見えるのを、じっみまもって、忘れたように跪居ついいる犬を、勇美子はてのひらではたと打って
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)