かたちづ)” の例文
自から一貫の理想をかたちづくりたれば、其理想する紳士も、其理想する美人も、其理想する英雄も、有り/\と文学上に映現し出でたり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
曰く性情ゼーレの動作にして意思ガイスト——考察と共に詩術の要素をかたちづくるもの即ちこれなり。けだし著者は詩境と人境との区別あるを知つて、之を実行するに当ツては終に区別あるを忘れたる者なり。
舞姫 (新字旧仮名) / 石橋忍月(著)
世人のかたちづくる社会の波動にあやしき因律のめぐるを知る
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)
心を以て判断者となし、以て聖経に教ゆるところを行はんとするは、最近の思想を奉じ自由の意志に従ひて信仰をかたちづくるものなりけり。
各人心宮内の秘宮 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
要するに世界の進歩の巨渦にさからつて吾運命をかたちづくる事は、人力の為す可からざるところなるが故に、吾人は思想上に於ていやしくも世界の大勢に駆らるゝ事ある時には
一種の攘夷思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
こゝに至りて伏姫の「運命」をかたちづくりしもの二段階あり、その一は根本の因果にして仏説をその儘なり、而して其二は一種のコンペンセイシヨンにして、一言の失言あやまりより起れるものとす。