ひね)” の例文
侯爵は嬉しさうににこ/\して「ほゝう、これは又面白い出来ぢやの、成程俵形で……」と皺くちやな掌面てのひらひねくり廻して悦に入つてゐる。
ある晩十時頃まで、色々人骨をひねくって、一人で熱心に解剖学の研究をしていたが、最早もはや夜もけたので、家へ帰ろうと思ってその室へ錠を下ろして、二階から下りて来ると
死体室 (新字新仮名) / 岩村透(著)
「よけいな詮索せんさくをおしでないよ。おまえさんは、長崎骨董ながさきこっとうでもひねっていればいいのだろ」
春の雁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、独語ひとりごとを言つてゐたが、別に一輪挿をひねくる程の風流気ふうりゆうぎも無い事に気がいて一寸顎をしやくつて前にゐる芸妓げいこを見た。
夫人は番頭が取り出して来る色々な土産物をひねくりまはしてゐたが、そのなかから通草蔓あけびかづらの手籠を二つ三つ買ひ取つた。
九代目団十郎が、まだ河原崎権十郎といつた頃、ある和蘭オランダ医者のうちで珈琲コーヒー茶椀を見て、不思議さうにひねくり廻してゐたが、暫くすると無気味さうにそつと下へ置いて
と気がいてみると、うしてもその茶匙をひねくる気になれなくなつた。
彼は腹這はらばひになつて、舶来の玩具おもちやひねくつてゐるのだ。