建増たてまし)” の例文
塾では更に校舎の建増たてましを始めた。教員の手が足りなくて、翌年の新学年前には広岡理学士が上田から家を挙げて引移って来た。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
建増たてましをするために、今まで住んだ千住から大工を連れて来たり、売買の仲介をした坂下の千樹園というのに、狭い庭の設計などをさせました。それは母が引受けたのです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
くりや建増たてましになってから、三つ続きの大きな竈もその方へ移されて、別に改良した煉瓦の竈も添わっている。内井戸も出来て、流し場も取りつけられ、すべては便利になっている。
建増たてまし軒端のきばの梅は移さずに
七百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
小諸の荒町から赤坂を下りて行きますと、右手に当って宏壮おおきな鼠色の建築物たてものは小学校です。その中の一むね建増たてましの最中で、高い足場の内には塔の形が見えるのでした。
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)