常陸帯ひたちおび)” の例文
東路あずまじの道の果てなる常陸帯ひたちおびをたぐりつくして、さてこれより北は胡沙こさ吹くところ、瘴癘しょうれいの気あって人をいたましめるが故に来るなかれの標示を見て
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
東湖の著書で、有名なものは、「常陸帯ひたちおび」「囘天詩史」「弘道館述義」「正気歌」などである。中にも、「囘天詩史」「正気歌」は、維新の志士に愛誦好吟されてゐる。
二千六百年史抄 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
道のはてなる(東路あづまぢの道のはてなる常陸帯ひたちおびのかごとばかりも逢はんとぞ思ふ)
源氏物語:30 藤袴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
常陸帯ひたちおび』を書き『回天詩史かいてんしし』を書いた藤田東湖はこの水戸をささえる主要な人物の一人ひとりとして、少年時代の半蔵の目にも映じたのである。あの『正気せいきの歌』なぞを諳誦あんしょうした時の心は変わらずにある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
新井白石の折焚柴おりたくしばを読ませても、藤田東湖の常陸帯ひたちおびを読ませても、神尾にとっては一笑のしろでしかあるに過ぎないけれど、夢酔道人の「夢酔独言」ばっかりは、こいつ話せる! いずれにしても
大菩薩峠:40 山科の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
東路あづまぢの道の果てなる常陸帯ひたちおび