巴黎パリ)” の例文
巴黎パリなる里昂リヨン停車場を発したる地中海行特急ペ・エール・エーム・エクスプレッス第七九五号列車は、蒼味をおびた夜空に金色の火花を吹き散らしながら、いまや
今でこそ樟脳しょうのうくさいお殿様とのさまたまりたる華族会館に相応ふさわしい古風な建造物であるが、当時は鹿鳴館といえば倫敦ロンドン巴黎パリの燦爛たる新文明の栄華を複現した玉のうてなであって
巴黎パリ郊外の林や丘を遊歩するに、英弗エッフェル塔は天を指して旧時のように高くそびえている。自動車は風をきって走りきたり、あるいは去る。車の音はあたかも多くの松が風に鳴るのに似ているのだ。)
南半球五万哩 (新字新仮名) / 井上円了(著)
身は再び巴黎パリなる里昂停車場において発見いたしました、という目もあてられぬ惨状、日ごろ筋違いに立腹する傾向のあるタヌキ嬢は、ここにおいておおいに激昂し
正午になって迎えが来ても根をやして、有合ありあい午飯ひるめしを一緒に済まして三時ごろまでも話し込んだ。仏蘭西から帰りたてなので、巴黎パリで捕縛されて監獄へほうり込まれたはなしをボツボツ話した。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
昨年師走しわすの上旬、風光るニースに至る一〇〇八粁にひゃくごじゅうりを縦走旅行するため不可思議なる自動車に乗じて巴黎パリを出発したコン吉氏ならびにタヌキ嬢は、途中予期せざる事件勃発したるにより
大杉の巴黎パリへ行った洋行費が問題となった。
最後の大杉 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)