ぽう)” の例文
あざやかなべに滴々てきてきが、いつの雨に流されてか、半分けた花の海はかすみのなかにはてしなく広がって、見上げる半空はんくうには崢嶸そうこうたる一ぽう半腹はんぷくからほのかに春の雲を吐いている。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
中でもことに忘れられないのは、日暮近く、断髪嶺だんぱつりやうへと路がかゝつて行つて、その峠の上から一万二千ぽうの称ある金剛山の嶙峋りんじゆんをさやかに夕日の影の中に眺めた時のことであつた。
山のホテル (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)