山魚やまめ)” の例文
秋の水がつめたくなって、はや山魚やまめもいなくなったいまじぶん、なにをる気か、ひとりの少年が、蘆川あしかわとろにむかって、いとをたれていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夕方釣つて來たといふ山魚やまめ魚田ぎよでんも添へてあつた。折柄烈しく音を立てゝ降りそめた雨を聞きながら、火鉢を擁して手づから酒をあたゝめ始めた。
みなかみ紀行 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
ねえ、先生、ここに綺麗きれいなお池がありますのよ。ごらんなさい、この水の澄んでいて静かなこと、透き通るようですわ。あれ、大きな魚が……山魚やまめでしょうか。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
夕方釣って来たという山魚やまめの魚田も添えてあった。折柄烈しく音を立てて降りそめた雨を聞きながら、火鉢を擁して手ずから酒をあたため始めた。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
七兵衛が、多摩川の岸の岩の上に立って、水の中を見ながら、それそこにはあゆがいる、山魚やまめがいる、かじかがいる、はやがいる、おこぜがいる、ぎんぎょがいる。
山魚やまめ、うぐい、はやなどの魚が瀬や淵で釣れる。どういうわけだか、私はこれらの川魚、といううちにも渓間の魚をば山桜の花の咲き出す季節と結んで思い出し易い癖を以前から持っていた。
みなかみ紀行 (新字新仮名) / 若山牧水(著)
山魚やまめでも捕るのかい」
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)