屋敷内やしきうち)” の例文
しかも長谷川君のうち西片町にしかたまちで、余も当時は同じ阿部あべ屋敷内やしきうちに住んでいたのだから、住居すまいから云えばつい鼻の先である。
長谷川君と余 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
金もない、穀物もない、だのに屋敷内やしきうちと来たらまるでシェレメーチエフ伯〔(ピョートル大帝の股肱の臣)〕のお邸みたいに、お百姓で一杯だ。頸根っこを
(新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
忠平どんも未だ年若としわかではあるし、他に兄弟もなく、さぞと察する、斯うして一つ屋敷内やしきうちに居るから、恥入ることだろうと思う、実に気の毒だが、の道ばかりは別だからのう
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
が——きに其處そこひと屋敷内やしきうちにでもなつて、かきからのぞこと出來できなくなるだらう。
しょうは八、九歳の時、屋敷内やしきうちにて怜悧れいりなる娘とめそやされ、学校の先生たちには、活発なる無邪気なる子と可愛がられ、十一、二歳の時には、県令学務委員等ののぞめる試験場にて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)