寄々よりより)” の例文
果して何処の酒屋がこゝろよく私達に一荷の酒樽を渡すであらうか? といふことに就いて寄々よりより会議を凝した挙句
心象風景 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
まして、漢中の地が、新たに魏の版図はんとに加えられたので、都府の百官は、曹操を尊んで、「魏王の位に即いていただこうじゃないか」と、寄々よりより、議していた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
寄々よりよりの農民の間に反対運動が起った。
大菩薩峠:38 農奴の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
しかし多少、酒気のあがるにつれて、あなたこなた、座をくずして、寄々よりよりに談笑の声はわき出している。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「何かただならぬ幕命をうけて帰ったらしいとのこと。それに別府の能登ノ介清秋も、甲ノ尾のたちにあって、寄々よりより一族の密議があったとも聞いています。ともあれ、お気をつけて」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
人夫頭は、寄々よりより、首をひねりながら、ともあれ小旗の立っているどての下へ集まった。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
など、寄々よりよりに恨み合い、悲涙をたたえ合い、甲府以来、信長へ対してとみにつのらせていた忿懣ふんまんやら反感に油をそそいで、いまやそれは、危険な発火作用を帯びるやも知れないまでに醞醸うんじょうしていた。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、一部強硬な仲間ではまた、寄々よりよりに云う。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)