嬰兒えいじ)” の例文
新字:嬰児
十九年前この屋敷の奧方が亡くなつて嬰兒えいじ濱路を草加へ里子に出したのも事實、その濱路が十九になつて、婿選むこえらみといふ段になつた時
結婚生活の當初咲子は豫期通り圭一郎を嬰兒えいじのやうに愛しいたはつてくれた。それなら彼は滿ち足りた幸福に陶醉しただらうか。
業苦 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
大岡越前守殿おほをかゑちぜんのかみどの是をきかれコリヤ九郎兵衞云願書のおもむきにてはさぞかし無念むねんに有ん如何にも不便のことなり女房ふかも一人の子息しそくを殺され老行おいゆく夫婦の路頭ろとうまよふは後世の杖をうばは嬰兒えいじ乳房ちぶさ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
豫期通り彼を嬰兒えいじのやうにかばいたはつてくれたのだが、しかし、子供が此世に現れて來て妻の腕に抱かれて愛撫されるのを見た時、自分へのちようは根こそぎ子供に奪ひ去られたことを知り
崖の下 (旧字旧仮名) / 嘉村礒多(著)
娘濱路を産んで間もなくくなり、嬰兒えいじは草加の百姓午吉夫妻に預けられて、三つになるまで育ち、それから小日向こびなたの大坪家へ歸されたのですが、お關に言はせると、午吉夫婦は自分の娘お關が