媽々かか)” の例文
堂宮どうみや縁下えんのした共臥ともぶせりをします、婆々ばば媽々かかならいつでも打ちも蹴りもしてくれましょうが、それでは、念が届きませぬ。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
え、千ちゃん、まあ何でもいから、お前様ひとつ何とかいって、内の御新造様を返して下さい。裏店うらだな媽々かかが飛出したって、お附合五六軒は、おや、とばかりで騒ぐわねえ。
清心庵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
馬鹿だというものやら、番小屋の媽々かかに似て此奴こいつもどうかしていらあ、というものやら。
化鳥 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
〆太鼓の男 稽古中けいこちゅうのお神楽で、へい、囃子はやしばかりでも、大抵村方むらかたは浮かれあがっておりますだに、面や装束をつけましては、ばば媽々かかまでも、仕事かせぎは、へい、手につきましねえ。
多神教 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「いえはじまりは地震かと思うてびくびくしていたんで、暑さがひどかったもんだからね。それという時の要心だ、わっしどもじゃ、媽々かかにいいつけて、毎晩水瓶みずがめふたを取って置きました。」
三枚続 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
同じ人間もな……鑄掛屋を一人土間であおらして、納戸の炬燵こたつに潜込んだ、一ぜん飯の婆々ばば媽々かかなどと言うてあいは、お道さんの(今晩は。)にただ、(ふわ、)と言ったきりだ。顔も出さねえ。
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
おいらが媽々かかが来ている筈、ちょいと逢おうと思って来た。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)