威嚇おどし)” の例文
「誰がツて……野郎、又威嚇おどし文句で、又兵衛(酒屋の主人)のとこへ行つて、酒の五合もくらつて来たんだ」
重右衛門の最後 (新字旧仮名) / 田山花袋(著)
侍がからだを揺すぶるのが、わざと嬌態しなをつくるとしか見えない、威嚇おどしのきかないことおびただしい。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
れから薩摩から戦の日延べを云出いいだしたその時に、英公使の云振いいぶりが威嚇おどしたにも威嚇おどさぬにもマア大変な剣幕で、悪くえば日本人はその威嚇おどしを喰たようなもので
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
是非下ろして見せると云う威嚇おどしもあらわれていない。下りたかろうとらす気色けしきは無論ない。ただ下りられまいと云う侮辱ぶべつの色で持ち切っている。それは何ともなかった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
さあなんとなりしてくだされといて、そでとりすがりてもだゆるに、もとよりくゝはらぬつまこと離別りべつなどゝはとき威嚇おどしのみなれば、すがりてくを時機しほに、わがまゝ者奴ものめひじらけ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
食いつなぐだけでも大わらわの我ら、他人の秘密事ないしょごとなど、どうでもよかよか。いや全くこの頃の世間、世智辛くなったぞ。百姓や町人めら、なかなか我らの威嚇おどしや弁口に、乗らぬようになったからのう
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
威嚇おどし嘲笑あざけりの表情である。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)