女中おんな)” の例文
さしむかいに云うではなし、円髷も附添った、その女中おんなとても、長年の、犬鷹朋輩の間柄、何の遠慮も仔細しさいも無かった。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
女中おんなは戸を立て、火鉢ひばちの炭をついで去れば、老女は風呂敷包ふろしきづつみを戸棚とだなにしまい、立ってこなたに来たり
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
「あらぬ疑惑ぎわくをもって当家の内秘をのぞかんとする天満のやせ浪人、船出の別宴によいさかなじゃ、重喜がみずから血祭りにしてくりょう! 女中おんなども、誰かある! 佩刀はかせを取れ」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そうして居るうちに、女中おんな部屋のボンボン時計が間の抜けた大女の様な音で十一打った。
千世子(三) (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
それでは、お見舞に、と奥に入ろうとする縁側で、女中おんなが、唯今すやすやと御寐おやすみになっていらっしゃいます、と云う。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
引きとめられて浪子は居残れば、幾は女中おんなと荷物になるべき毛布ケット蕨などとりおさめて帰り行きぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
女中おんなが来て
濞かみ浪人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
さては誰も物申ものもうに応うるものが無かったのであろう。女中おんな外出そとでで? お蔦は隠れた。……
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
主人あるじ女中おんなに玄関まで見送られて、千々岩は山木の別邸をで行きたり。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
女中おんな部屋でいたせばようございますのに、床も枕も一杯になって寝ているものでございますから、つい、一風呂頂きましたあとを、お客様のお使いになります処を拝借をいたしまして
鷭狩 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
御寝ぎょしなります、へい、唯今ただいま女中おんなを寄越しまして、お枕頭まくらもともまた、」
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)