めぐら)” の例文
旧字:
石をめぐらした一坪ほどの水溜りは碑文に言う醴泉れいせんの湧き出た井の名残であろう。しかし今見れば散りつもる落葉の朽ち腐された汚水の溜りに過ぎない。
葛飾土産 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
小笹と枯芒かれすすきの繁った道端みちばたに、生垣をめぐらした茅葺の農家と、近頃建てたらしい二軒つづきの平家ひらやの貸家があった。
元八まん (新字新仮名) / 永井荷風(著)
堤の上は大門近くとはちがつて、小屋掛けの飲食店もなく、車夫も居ず、人通りもなく、榎か何かの大木が立つてゐて、其幹の間から、堤の下に竹垣をめぐらし池を穿つた閑雅な住宅の庭が見下された。
里の今昔 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
堤の上は大門近くとはちがって、小屋掛けの飲食店もなく、車夫もいず、人通りもなく、榎か何かの大木が立っていて、その幹の間から、堤の下に竹垣をめぐらし池を穿うがった閑雅な住宅の庭が見下された。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いづれも生垣を結ひめぐらした同じやうな借家の中の一軒である。
人妻 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)