唐団扇とううちわ)” の例文
玉藻は忠通をあおいでいる唐団扇とううちわの手を休めて、しばらく考えているらしかったが、あらためて主人の前に手をついた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
町家まちやでは、前の年の寒のうちに寒水でつくった餅を喰べてこの日を祝い、江戸富士詣りといって、駒込こまごめ真光寺しんこうじの地内に勧請かんじょうした富士権現に詣り、麦藁むぎわらでつくった唐団扇とううちわや氷餅
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
男はみな跣足はだしで、薄い鼠色の着物をきて、胸のあたりをあらわに見せていた。それにつづいて、水色のうすものを着た八人の女が唐団扇とううちわのようなものを捧げて来た。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)