哺育ほいく)” の例文
即ち労働に適した子供を出来るだけ沢山生んでこれを哺育ほいくしかつ教育することの天賦の使命に自己をささげねばならぬと教えられ
母性偏重を排す (新字新仮名) / 与謝野晶子(著)
既にすでに多くの科学者や思想家が申し出たように、女性は産児と哺育ほいくとの負担からして、実生活の活動を男性に依託せねばならなかった。
惜みなく愛は奪う (新字新仮名) / 有島武郎(著)
一首の意は、物ごころがつき、年ごろになって、母の哺育ほいくの手から放れて以来、こんなに切ないことをしたことはない、というので、恋の遣瀬無やるせないことを歌ったものである。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
もし如宝に建築の天才があったとすれば、それはどの時代に哺育ほいくせられたのであろうか。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
妾は嬰児えいじ哺育ほいくするのほか、なお二児の教育のゆるがせになしがたきさえありて、苦悶くもん懊悩おうのううちに日を送るうち、神経衰弱にかかりて、臥褥がじょくの日多く、医師より心を転ぜよ、しからざれば
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
だからこのさとの里子のかたちで、これらのひとに哺育ほいくされてきた不知哉丸は、たとえそれが主君高氏の隠し子であるにせよ、よしまたその生母が、卑賤な田楽女でんがくひめであろうとも、やがては
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)