味噌汁おつけ)” の例文
重助「それじゃア此方こっちへおいでなさい、なんにも有りませんが茶飯が出来ましたから、味噌汁おつけでもあっためて御飯おまんまを上げたいから。心ざす仏さまへ御回向なすって下さいな」
彼が実家に帰ってからのち、こんな評が時々彼の耳にった。しかし当時の彼は、御常が長火鉢ながひばちそばへ坐って、下女げじょ味噌汁おつけをよそって遣るのを何の気もなく眺めていた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
毛一筋も乱れない円髷のつやこぼさず、白粉の濃い襟を据えて、端然とした白襟、薄お納戸のその紗綾形さやがた小紋の紋着もんつきで、味噌汁おつけよそ白々しろしろとした手を、感に堪えて見ていたが
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「だが、宿は温泉だといっておいて赤湯だの、ぬる湯だのと、変な板かこいの小屋へ連れていって、魚の御馳走ごちそうだといって、どじょうをなまのまま味噌汁おつけわんへ入れられたには——」
旧聞日本橋:08 木魚の顔 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
○「えゝ味噌汁おつけの中へ入れる汁の実」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)