受太刀うけだち)” の例文
そこで甚太夫がわざと受太刀うけだちになった時、奮然と一本突きを入れた。甚太夫は強くのどを突かれて、仰向あおむけにそこへ倒れてしまった。その容子ようすがいかにも見苦しかった。
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
お松は畳みかけて叱られるのを苦しい受太刀うけだちをしていたが、お絹はあんまり深く追及しないで
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
とお作がみんなから冷やかされる事になったが、流石さすがに海千山千のお作もこの時ばかりは受太刀うけだちどころか、返事も出来ないまま真赤になって裏口から逃げ出して行った位であった。
斜坑 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
これを逃げ損ねの受太刀うけだちと云う。坊っちゃんはを見て奇麗に引き上げる事を知らぬ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
広子はもう一度苛立いらだたしさを感じた。それは恬然てんぜんと切りこんで来る妹に対する苛立たしさでもあれば、だんだん受太刀うけだちになって来る彼女自身に対する苛立たしさでもあった。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
吾々みたいな粗笨あらっぽい頭では、どこに虚構おちが在るか見当が附かないんだ。そこで止むを得ず受太刀うけだちにまわって、南鮮沿海の漁民五十万の死活に関する所以ゆえんを懇々と説明すると
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)