厭忌えんき)” の例文
或時は露骨に叙し、或時は一種厭味の装飾を用うるを要す。語をへて言はば、多数素人へのあてこみは少数黒人くろうとの最も厭忌えんきする方法を取らざるべからず。
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
然るも吾人の輸入をいとふは、攘夷といへる一般の厭忌えんきにあらずして、攘偽文明といへる特種の性質を帯びて
一種の攘夷思想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
すなわち、この家系に属する人は、よくこれをして厭忌えんきするところの人にかしむという。かくのごとき狐に憑かれたる人の言行は、すこぶる奇怪なるものあり。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)
専制の政体を厭忌えんきし、公平無私なる、立憲の政体を希望し、新紙上に掲載し、あるいは演説にあるいは政府に請願して、日々専制政治の不可にして、日本人民に適せざる事を注告ちゅうこく
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
ややもすれば物質的快楽を厭忌えんきすること、その度に過ぐるがごとき弊なきにあらざりしも、高尚優美の風致を愛するに至っては、君子国の名に恥じざるところありき。
迷信と宗教 (新字新仮名) / 井上円了(著)