卵黄きみ)” の例文
けれどもその朝彼は、卵黄きみを二つすすっただけで、何も食べなかった。それから葡萄酒を二杯飲んだ。
蘇生 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
由って掘り試むるに、銀あって中に夥しく金をつつめり、その銀数片を夢判じにやると、銀より金が欲しいおぼし召しから、卵黄きみの方も少々戴きたいものだと言うたそうな。
せめて玉子でも新らしければ少しは持つけれども、二月ふたつきも前に外所よそから貰った到来物とうらいものの玉子だ。それも上海玉しゃんはいだま下等物かとうもので、わった時は大概卵黄きみが壊れていた。腐ったものは堅いものよりなお悪い。
食道楽:春の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
葡萄酒を一杯、鶏卵の卵黄きみを二つ、鶏肉の汁を一椀、粥を少量、それだけ敬助は食べた。出来るだけ多量に取るようにと看護婦は云ったが、嘔気がしてそれ以上は食せなかった。
蘇生 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)