切米きりまい)” の例文
切米きりまい、お扶持米ふちまい御役料おやくれうの手形書替へをする。札差の前身は、その役所近くに食物や、お茶を賣つてゐた葭簾よしずばりの茶店だつたのだ。
花火と大川端 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
たとい一合二合の切米きりまいでなりとも、主取しゅどりさえできたら、きっと願いを出して、表向きそなたを引取るようにするから、それまでのところは、寂しかろうが
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
値りて、切米きりまい切手を抵當に入れたは宜いが、それが拂へないばかりに表沙汰にされ、御家人の株まで召上げられた氣の毒な人ですよ、——こいつは何をやり出すかわかりやしません
河野父子三人は、奥女中らとしばしば宴遊し、風紀をみだした、という理由で死罪。老女鳥羽は、「奥向きの取締りを怠った」ということで、切米きりまい二十両十人扶持を付けて大条玄蕃へ預け。
橋谷をはじめとして、一座の者が微笑ほほえんだ。橋谷は「最期さいごによう笑わせてくれた」と言って、家隷に羽織を取らせて切腹した。吉村甚太夫じんだゆうが介錯した。井原は切米きりまい三人扶持ふち十石を取っていた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)