かしづ)” の例文
旧字:
貫一は無雑作に郡内縞ぐんないじま掻巻かいまき引被ひきかけてしけるを、疎略あらせじと満枝は勤篤まめやかかしづきて、やがておのれも始めて椅子にれり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
『たのもしい人物じんぶつじゃ。あれよりほかにそちが良人おっとかしづくべきものはない……』ただそれっきりの事柄ことがらで、わたくしはおとなしくちちおおせに服従ふくじゅうしたまででございます。
子細のあれば、身を隠す、我は現世になきものと、ひとへに良人にかしづけよ。我は元来強情すねものの、人交はりは好かぬ身を、心にもなき大都の風に、顔さらせしは、誰が為ぞ。
移民学園 (新字旧仮名) / 清水紫琴(著)
畔柳元衛くろやなぎもとえの娘静緒しずおやかたの腰元に通勤せるなれば、今日は特に女客の執持とりもちに召れて、高髷たかわげ変裏かはりうらよそひを改め、お傍不去そばさらず麁略そりやくあらせじとかしづくなりけり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
宮は今外出せんとする夫の寒凌さむさしのぎに葡萄酒ぶどうしゆ飲むしばら長火鉢ながひばちの前にかしづくなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)