入来いりく)” の例文
旧字:入來
又人の入来いりく気勢けはひなるを宮は心着きてうかがひしに、姿は見えずして靴の音のみを聞けり。梅見る人か、あらぬか、用ありげにせはしく踏立つる足音なりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ほとんどチベットにありとあらゆる産物及び外国から入来いりくる物品で、大蔵省へ納まらないものはない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
時に履物の音高くうち入来いりくるものあるにぞ、お貞は少しあわただしく、急に其方そなたを見向ける時、表の戸をがたりとあけて、濡手拭ぬれてぬぐいをぶら提げつつ、と入りたる少年あり。
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
思ひも懸けず宮の入来いりくるを見て、起回おきかへらんとせし彼の膝下ひざもとに、早くも女のまろび来て、立たんと為ればたもとを執り、なほひしと寄添ひて、物をも言はず泣伏したり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
貫一も今は是非無く婦人に従ひて待合所の出会頭であひがしらに、入来いりくる者ありて、その足尖つまさきひしげよと踏付けられぬ。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)