どち)” の例文
どちらでも宜い、何処へ行つても同じことだ、価値の等差がない、いづれを選んでもよい、だから選択に困る、本来ならば故郷へ帰るべきだ、だがもしも……それに京都にも未練がある
厄年 (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
貴樣が出ずばどちら道同じ事をしくもない九尺二間、我れが小僧を連れて出やう、さうならば十分に我鳴り立る都合もよからう、さあ貴樣が行くか、我れが出ようかと烈しく言はれて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
何故なら、物質生活こそが精神生活の根底であるから、私は、物質生活と精神生活とどちらが尊いかと云うのではない。物質生活の安定あって、始めて精神生活が充分に為されるのである。
大衆文芸作法 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
教会の言ふ所と私の信仰とはたしかに違つて居るのですから——けれど、老女さん教会の言ふ所と私の信仰と、どちらが神様の御思召に近いかと云ふ段になると、其を裁判するのは只だ神様ばかりです
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
貴様が出ずばどちら道同じ事をしくもない九尺二間、れが小僧を連れて出やう、さうならば十分に我鳴り立る都合もよからう、さあ貴様がくか、れが出ようかとはげしく言はれて
にごりえ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
貴樣きさまずばどちみちおなことをしくもない九しやくけんれが小僧こぞうれてやう、さうならば十ぶん我鳴がなたて都合つがうもよからう、さあ貴樣きさまくか、れがようかとはげしくはれて
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)