たちどま)” の例文
或日あるひ秋の日暮れがたであつた。宗右衛門は、すつかりそれに見惚みとれてたちどまつてゐた。その女菩薩が妙に宗右衛門の性慾を刺戟しげきしたのであつた。女菩薩の画像は等身大であつた。
老主の一時期 (新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
風がすそをあおって行こうと、自転車が、人が、犬がり抜けて通って行こうと、逸作は頓着とんじゃくなしにぬけぬけとたちどまって居る。これを、宇宙を小馬鹿にした形と、かの女は内心で評して居る。
かの女の朝 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)