二束三文にそくさんもん)” の例文
住居すまいは住居で、葉子の洋行後には、両親の死後何かに尽力したという親類の某が、二束三文にそくさんもんで譲り受ける事に親族会議で決まってしまった。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
河童がたろ横町はむかし河童かっぱんでいたといわれ、きらわれて二束三文にそくさんもんだったそこの土地を材木屋の先代が買い取って、借家を建て、今はきびしく高い家賃も取るから金が出来て
夫婦善哉 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
チャンじいさんは、あれでそうとうなもんだよ。こっちが売りに持っていった品物は二束三文にそくさんもんに値ぎりたおす。それをあとで磨きにかけて、とほうもない高値で、外国人などに売りつけるんだ。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なまじい保護を受ければこそ、こんな兄に頭を下げなければならない。牛乳配達をしても食ってられると覚悟かくごをした。兄はそれから道具屋を呼んで来て、先祖代々の瓦落多がらくた二束三文にそくさんもんに売った。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)