事理じり)” の例文
にや縁に從つて一念とみ事理じりを悟れども、曠劫くわうごふ習氣しふきは一朝一夕にきよむるに由なし。變相殊體へんさうしゆたいに身を苦しめて、有無流轉うむるてんくわんじても、猶ほ此世の悲哀にはなれ得ざるぞ是非もなき。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
〔譯〕公私こうしは事に在り、又情に在り。事公にして情私なるもの之有り。事私にして情公なるもの之有り。政を爲す者は、宜しく人情事理じり輕重けいぢゆうの處を權衡けんかうして、以て其のちゆうを民に用ふべし。
その言によると、あの折、勘太は自首して出たことが、かえって幸いして、奉行の公平な裁断のもとに罪を問われずに放された。罪はかえって死んだ男のほうにある事理じりが明白にされたのである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ハハハハ。そのくらい事理じりが分ったら煩悶はんもんもなかろう」
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)