九鬼くき)” の例文
フェノロサは同行の九鬼くき氏とともに、稀有けうの宝を見いだすかも知れぬという期待に胸をおどらせながら、執念深く寺僧を説き伏せにかかった。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
と、秀吉は黄昏たそがれの空を仰いでいとまを告げ出した。しかし信長は、陸路の危険もあるから帰りは船にのって夜をかけて帰れという。そしてその護衛は水軍の九鬼くき一族に命じよう。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
はばかりながら、九鬼くき(隆一)へは別に書面を出しませんから、よろしく御伝言ねがいます。僕は一両日中には、ふたたびオーストリアへまいり、十月中旬ごろまで滞在のつもり。
摂州せっしゅう三田さんだ藩の九鬼くきと云う大名はかね懇意こんいの間柄で、一度は三田に遊びに来いと云う話もあり、私もその節病後の身で有馬の温泉にもいって見たし、かた/″\ず大阪まで出掛けて
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
この地方には八鬼やぎ山だの九鬼くきだのと、鬼という字のつく地名が多い。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
九鬼くき仙石せんごく、中村一氏かずうじの諸軍は、さらに熊野へ進攻した。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)