九紋龍くもんりゅう)” の例文
新字:九紋竜
魯智深ろちしんはいった。——九紋龍くもんりゅう史進ししんもまたこの奇遇を尽きない縁ときょうじてやまない。そして相携あいたずさえつつ、もとの瓦罐寺がかんじのほうへ歩きだした。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私は唯だ来春らいはる、正月でなければ遊びに来ない、父が役所の小使こづかい勘三郎かんざぶろうの爺やと、九紋龍くもんりゅうの二枚半へうなりを付けて上げたいものだ。お正月に風が吹けばよいと、そんな事ばかり思って居た。
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
石榴口には花鳥風月もしくは武者絵などがいてあって、私のゆく四丁目の湯では、男湯の石榴口に水滸伝すいこでん花和尚かおしょう九紋龍くもんりゅう、女湯の石榴口には例の西郷桐野篠原の画像が掲げられてあった。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「はい。背に九ツの龍の刺青いれずみをしているので、人は綽名あだなして、九紋龍くもんりゅう史進と私をよんでおります」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
史進ししんですよ。渭水いすいでお別れした九紋龍くもんりゅう史進ししんでさ。てまえもこんな風態だが、いや、あんたの変りようではぶつかっても分りッこはない。提轄から坊主とは、どうもえらい化けかたですな」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)