上宮太子じょうぐうたいし)” の例文
何故かくも信仰が深かったのだろうか——。上宮太子じょうぐうたいし義疏ぎしょのごとく、仏教について内奥ないおうの思念を直接語られたような文書はもとより伝わっていない。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
上宮太子じょうぐうたいしの「家ならば妹が手まかむ、草枕旅にこやせる、この旅人たびとあはれ」という歌も、『紀』に録するところの
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
そうかと思うと『源氏物語』や『続世継ぞくよつぎ』などに尺八の名があり、さらに上宮太子じょうぐうたいしが尺八を吹かれたという話がある、シナには唐あたりの古いところにもとにかく尺八の名がある。
日本楽器の名称 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
彼等が随喜渇仰ずいきかつごうしたほとけは、円光のある黒人こくじんではありません。優しい威厳いげんに充ち満ちた上宮太子じょうぐうたいしなどの兄弟です。——が、そんな事を長々と御話しするのは、御約束の通りやめにしましょう。
神神の微笑 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
「おお、これがおれの道楽かな。その子の出生は午前しょう六時、好い時刻だ。それに三月十五日、明治八年か。それで事はすっかり明白になった。いや、維新変革の後八年。ちょっと待てよ。それでは上宮太子じょうぐうたいし御生誕後幾年になる。」
上宮太子じょうぐうたいしの文化が凝ってこの像となったとすれば、上宮太子はまた我が国最初の偉人でなくてはならない。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
諸王諸臣の厚い御看護と祈願にもかかわらず、上宮太子じょうぐうたいしは推古天皇の三十年二月二十二日夜半薨去こうきょされた。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)
現在その右方にいます薬師如来にょらい像も鳥の作と推定されているが、元来このみ仏が本尊であったのを、上宮太子じょうぐうたいしへの思慕と釈迦像の荘厳の故に後世置きかえられたと云われる。
大和古寺風物誌 (新字新仮名) / 亀井勝一郎(著)