万一もしか)” の例文
旧字:萬一
「皆さん、あなた方はかうやつて大勢講堂に集まつてゐますが、万一もしかひよつとした事で、この建物から火が出た時にはうしますね。」
そんなてあひに限つて、万一もしか都合よく出世したら、その暁に銀の牛を拵へても遅くはあるまいと思つてゐた。
万一もしか女史が二つの眼で一緒に笑つてみせて呉れる事だつたら、男達をとこだち各自てんでに自分のしんの臓を掴み出してみせるか、それともかはづのやうに飜斗とんぼがへりをしてみせたに相違ない。
阿爺おとうさん後生ですから元々通り箪笥に蔵ひ込んで置いて下さい。万一もしか私が沙翁セキスピヤ物でもる事があつたら、その折着させて戴きます。何しろ結構な仕立で、何卒どうか樟脳をどつさり入れてね……」
住持おつさんは庫裏くりでちびりちびり晩酌をやりながら、土間に積んだ米俵を見た。そして万一もしか米屋が頓死でもして、この米俵がそつくり自分のものになるのだつたら、こんな結構な事はないと思つた。