一飛ひととび)” の例文
すそを伝うて、と高く、ト一飛ひととび低く、草を踏み、岩を渡って、およそ十四五分時を経て、ここぞ、と思う山の根の、波にさらされた岩の上。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そのひまに下島との間に距離が生じたので、伊織が一飛ひととびに追いすがろうとした時、跡から附いて来た柳原小兵衛が、「逃げるなら逃がせい」と云いつつ、背後うしろからしっかり抱き締めた。
じいさんばあさん (新字新仮名) / 森鴎外(著)
が、貴女には既に心を許して、秘蔵の酒を飲ませた。海のはて、陸のおわり、思ってかれない処はない。故郷ふるさとごときはただ一飛ひととびまばたきをするかれる。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
横町の怪我けがを見ると、我を忘れたごとく一飛ひととびに走り着いて、転んだつちへ諸共に膝を折敷いて、たすけ起そうとする時、さまでは顛動てんどうせず、力なげに身を起して立つ。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
京の空へ一飛ひととびぢや。
妖魔の辻占 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)