一重瞼ひとえまぶち)” の例文
やや面長おもながなお顔だち、ぱっちりと見張った張りのある一重瞼ひとえまぶち。涼しいのも、さわやかなのも、りんとしておいでなのもお目ばかりではありませんでした。
大塚楠緒子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
そのせいで形の好い彼女のまゆ一際ひときわ引立って見えた。彼女はまた癖のようによくその眉を動かした。惜しい事に彼女の眼は細過ぎた。おまけに愛嬌あいきょうのない一重瞼ひとえまぶちであった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
色めき白けるともしびに、一重瞼ひとえまぶちの目をすずしく、美津は伏せたるおもてを上げた。
南地心中 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
切れ長の一重瞼ひとえまぶちの中から静かなひとみが座敷の下に落ちた。井深はまた机の方に向き直った。
永日小品 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)